コラム

マンションのリフォームの補助金|専有部分と共用部分で使える制度の違い

この記事の結論

  • マンションのリフォームの補助金は、各住戸(専有部分)の工事で区分所有者が申請する制度と、共用部分の工事で管理組合が申請する制度に分かれます
  • 専有部分では、国の住宅省エネ2026キャンペーン(窓・給湯器・断熱など)と、都・区の省エネ助成が中心です
  • 共用部分では、23区の管理組合向け制度80件のうち、耐震が23件で最も多く、省エネ・再エネ18件、アスベスト14件、計画修繕調査・共用部分改修8件が続きます
  • 窓枠・窓ガラスは、国のマンション標準管理規約では専有部分に含まれず、改良は管理組合が計画修繕として行うとされています。窓や玄関ドアの工事は、補助金を探す前に管理規約と管理組合への申請手続きを確認してください

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専有部分と共用部分で制度が分かれる

工事する場所で、申請する人と使える制度が決まります。

工事の場所 例 申請する人 主な制度
専有部分(住戸の内側) 浴室・トイレ・キッチン、給湯器、内窓、室内の断熱、手すり 区分所有者(工事を発注する人) 国の住宅省エネ2026キャンペーン、都・区の省エネ助成、区のリフォーム助成
共用部分 外壁・屋上防水、エレベーター、廊下・エントランス、耐震改修、共用部の照明 管理組合(理事長など) 区の耐震助成、区の共用部分改修・計画修繕調査の助成、都のマンション改良工事助成
管理規約で扱いが分かれる部分 窓枠・窓ガラス、玄関扉 規約と工事の内容による 下の「マンション特有の注意」を参照

専有部分で個人が使える制度

住戸の中(専有部分)の工事は、区分所有者が個人で申請できる制度があります。国の制度と区の制度に分けて説明します。

国の制度

住宅省エネ2026キャンペーンの3事業は、マンションの住戸でも使えます。

事業 マンションでの扱い(公式ページ、2026年10月24日確認)
みらいエコ住宅2026 戸建・共同住宅の区別なく対象。トリガールームの天井や床が隣の住戸に接している場合、その部位の躯体断熱は実施済みとみなせる
先進的窓リノベ2026 購入・工事タイプは、所有者等のほか管理組合も対象。内廊下に面した玄関ドアなど外気に面していない開口部は対象外
給湯省エネ2026 共同住宅は1住戸1台まで

東京都の制度

制度 マンションの住戸での扱い
既存住宅における省エネ改修促進事業 集合住宅の戸別改修も対象。窓・ドアは戸建と同じ上限(200万円/戸)。原則、契約前の事前申込が必要
分譲マンション省エネ型給湯機器導入促進事業 エコジョーズ・エコフィールへの交換。令和8年度から戸別申請も対象(都の令和8年度助成メニュー)
既存住宅省エネ診断・設計等支援事業 省エネ診断・設計への補助。共用部分のみの診断・設計は対象外

区の制度で注意する点

区の制度には、分譲マンションの専有部分の扱いを明記しているものがあります。当サイトが23区の公式ページと要綱を確認して集計(2026年10月24日時点)した記載の例です。

区の省エネ助成で窓を対象にしている制度は多いですが、窓が共用部分にあたる場合は、管理組合の承認を条件にしているかを区に確認してください。

共用部分で管理組合が使える制度

当サイトのデータでは、管理組合・マンションが申請できる制度は89件(国4件、都5件、区80件)です。区の80件を、各制度の主な対象工事で1つの種類に分けると次のとおりです(当サイトが23区の公式ページと要綱を確認して集計、2026年10月24日時点。複数の工事を対象にする制度は、制度名と主な対象から1つに分類)。

種類 件数 区の数 内容の例
耐震(診断・設計・改修) 23 20 旧耐震(昭和56年5月31日以前)の分譲マンションの耐震診断・補強設計・改修
省エネ・再エネ(共用部) 18 18 共用部のLED照明、太陽光発電、高反射率塗装、集合住宅全体の窓断熱
アスベスト(調査・除去) 14 12 吹付けアスベストの分析調査、除去工事
共用部分改修・計画修繕調査・管理 8 6 劣化診断、長期修繕計画の作成、共用部分の修繕工事、融資の保証料
バリアフリー 4 4 共用部の段差解消、手すり、スロープ
ブロック塀 4 4 危険なブロック塀の撤去
一般リフォーム(共用部分も対象) 3 3 区のリフォーム助成のうち管理組合も申請できるもの
がけ・止水板・防災 3 3 擁壁改修、止水板、防災資器材
エレベーター 2 2 戸開走行保護装置、地震時管制運転装置、耐震補強
宅配ボックス 1 1 集合住宅の宅配ボックス

23区のうち22区に管理組合が申請できる制度があります。耐震の制度は20区にあり、旧耐震のマンションでは最初に確認する制度です。

計画修繕調査・共用部分改修の制度

大規模修繕の前の調査や、共用部分の修繕そのものを対象にする制度です。

区 制度 対象 上限
中央区 分譲マンション共用部分改修費用助成 築20年以上。外壁改修、防水、給排水管の更生・更新、エレベーターの耐震化など 設計費100万円、工事費1,000万円
江東区 マンション計画修繕調査支援事業 築7年以上の計画修繕調査 戸数規模別 21.9万〜79.3万円
豊島区 分譲マンション計画修繕調査費助成 築8年以上。劣化診断と長期修繕計画の作成・更新(工事費は対象外) 20万円(区の解説資料は令和6年4月版のため、令和8年度の内容は区に確認)
北区 マンション劣化診断調査費用助成 築10年以上の劣化診断 20万円
品川区 住宅改善工事助成事業 分譲マンションの共用部分の改善工事 共同住宅100万円

豊島区は、管理規約の整備と集会(総会)の決議を要件にしています。

エレベーター・バリアフリーの制度

区 制度 対象 上限
港区 エレベーター安全装置等設置助成事業 戸開走行保護装置、地震時管制運転装置、耐震補強 戸開走行保護装置300万円
新宿区 エレベーター防災対策改修支援事業 主要機器の耐震補強、戸開走行保護装置、地震時管制運転装置など 主要機器の耐震補強300万円
港区 共同住宅バリアフリー化支援事業 共用部の段差解消、手すり、エレベーターの新設・改修 工事ごとの上限額(エレベーター新設2,000万円など)を基に、助成額はその1/2

融資を使う場合

共用部分の修繕で住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資を使う場合、都のマンション改良工事助成が利子を補給します。令和8年度の第2期は2026年10月1日〜2027年2月19日です。港区(債務保証料助成、上限150万円)と江東区(マンション共用部分リフォーム支援事業、上限50万円。都のマンション改良工事助成の交付決定が条件)には、融資の保証料を助成する制度があります。

申請の時期

区の管理組合向け80件のうち、業者との契約前の申請が必要と公式に明記されている制度が28件、着工前の申請が必要な制度が27件、工事後でも申請できる制度が11件、公式ページから読み取れない制度が14件です。管理組合の工事は総会の決議に時間がかかるため、決議の前に区の窓口に相談し、申請の時期を確認してください。

マンション特有の注意

マンションでは、戸建てにはない管理規約や共用部分の扱いに注意が必要です。

窓と玄関扉は共用部分にあたる場合がある

国土交通省のマンション標準管理規約(単棟型、令和7年改正)では、次のように定めています。

  • 第7条:窓枠と窓ガラスは専有部分に含まれない。玄関扉は、錠と内部塗装部分が専有部分
  • 第22条:窓枠・窓ガラス・玄関扉などの開口部の改良工事で、防犯・防音・断熱などの性能を高めるものは、管理組合が計画修繕として行う。管理組合がすぐに行えない場合、区分所有者は理事長の承認を受けて自分の負担で工事できる

標準管理規約は、各マンションが規約を作るときの参考として国が示すものです。実際の扱いは、お住まいのマンションの管理規約で決まります。外窓の交換やガラス交換は、規約上は共用部分の工事にあたる可能性があります。管理規約を確認し、管理組合に相談してから業者と契約してください。

専有部分の工事も申請が必要な場合がある

標準管理規約第17条では、専有部分の修繕・模様替えのうち、共用部分や他の住戸に影響するおそれのある工事は、事前に理事長に申請して承認を受けるとしています。床材の変更や給排水管の工事などが該当しうる例です。補助金の申請期限と、管理組合の承認にかかる日数の両方を見込んで工事の時期を決めてください。

確認する順番

  1. 工事の場所が専有部分か共用部分かを、管理規約で確認する
  2. 専有部分なら個人で使える国・都・区の制度を、共用部分なら管理組合で使える区の制度を調べる
  3. 管理組合への工事の申請(専有部分)、または総会の決議(共用部分)の手続きと日数を確認する
  4. 契約前・着工前の申請が必要な制度は、その前に申請する
  5. 業者の条件(国の登録事業者、区内業者など)を満たす業者から見積もりを取る

次にすること

使う制度と申請の順番を確かめたら、次のページで住んでいる区や工事の場所の制度を確認してください。

出典

この記事の数値と制度の条件は、次の公式資料で確認しています。

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