コラム
リフォームの相見積もりの取り方|補助金を使う場合の手順と比較表
この記事の結論
- 相見積もりは2〜3社に、同じ工事内容・同じ条件で依頼します。条件がそろっていないと金額を比べられません。
- 見積書は合計額だけでなく、製品の型番・数量・単価、諸経費、追加費用の扱い、保証の内容を表にして比べます。
- 当サイトの集計(国・東京都・23区の275件)では、契約前の申請が必要な制度が73件、着工前の申請が必要な制度が131件あります。工事後でも申請できる制度は19件です。
- 補助金を使うなら、見積もりを依頼する時点で「使いたい制度」「業者条件」「申請時期」を伝え、見積もりと一緒に申請の段取りも比べます。
補助金を使う場合、見積もりの段階で決まること
補助金を使うかどうかは、見積もりを取る前に決めておきます。当サイトが国・東京都・23区の公式ページと要綱を確認して集計したところ(2026年10月24日時点、275件)、申請の時期は次のとおりでした。
| 申請の時期 | 件数 | 見積もり・契約への影響 |
|---|---|---|
| 業者との契約前に申請が必要(公式に明記) | 73件 | 見積もりを比べて業者を決めたら、契約の前に申請する |
| 着工・設置の前に申請が必要 | 131件 | 契約前に必要かは記載なし。着工日は申請の後に設定する |
| 工事後でも申請できる | 19件 | 工事の後に申請。ただし業者条件や契約の形式に要件がある |
| 公式ページから読み取れない | 52件 | 区の窓口に確認してから契約する |
275件のうち204件(約74%)は、契約前か着工前に申請が必要です。契約後でも申請できると公式に明記されている区の制度は、世田谷区エコ住宅補助金と渋谷区 住宅簡易改修支援事業の2件でした。どちらも工事の前に区への申請・登録が必要です。
このため、補助金を使う相見積もりでは、見積もりを受け取ってすぐ契約するのではなく、次の順番になる制度が多くなります。
- 見積もりを比べて業者を決める
- 見積書を添えて区などに申請する
- 交付決定・承認などの通知を受ける
- 業者と契約する(契約前申請の制度の場合)
- 着工する
主な制度の申請時期と見積もりの関係
| 制度 | 申請と契約・着工の関係 |
|---|---|
| 既存住宅の断熱リフォーム支援事業(国・環境省) | 交付決定の前に契約・発注した事業は対象外。申込金の入金も契約に含まれる |
| 既存住宅における省エネ改修促進事業(東京都) | 原則として助成対象機器の契約締結前に事前申込が必要 |
| 大田区 住宅リフォーム助成事業 | 工事の前に事前申込(仮申請)。工事完了後に本申請 |
| 北区 住まい改修支援助成 | 着工前に助成対象承認申請。電子申請は着工日の10営業日前まで |
| 墨田区 地球温暖化防止設備導入助成 | 着工の1か月前から7営業日前までに申請 |
| 世田谷区エコ住宅補助金 | 工事契約後、工事前に事前登録。工事・支払完了後に交付申請 |
| みらいエコ住宅2026事業・先進的窓リノベ2026事業・給湯省エネ2026事業(国) | 工事請負契約の前に着工したものは対象外。交付申請は工事完了後に登録事業者が行う |
出典:各制度の公式ページ・公募要領(表内のリンク)。断熱リフォーム支援事業は令和8年6月公募の公募要領の記載で、9月公募(2026年9月7日〜12月11日)の詳細は事業ページで確認してください。
国の3つの制度は工事後の申請ですが、先進的窓リノベ2026事業の手引きでは、現地調査・採寸・見積もりは「工事着手」に含まれないとされています。相見積もりのための現地調査を受けても、補助の対象から外れることはありません。
相見積もりの手順
補助金を使う場合の相見積もりは、次の7つの手順で進めます。
| 時期 | 誰が | 何をするか |
|---|---|---|
| 1. 依頼の前 | 自分 | 工事の場所・範囲、予算、時期を書き出す。使いたい補助金を決め、業者条件と申請時期を公式ページで確認する |
| 2. 業者を選ぶ | 自分 | 業者条件を満たす業者を2〜3社選ぶ(登録事業者、区内業者の定義) |
| 3. 依頼 | 自分→業者 | 全社に同じ内容を伝える。使いたい制度名、申請時期、見積書に型番・数量を書いてほしいことも伝える |
| 4. 現地調査 | 業者 | 採寸・既存の設備の確認。立ち会って、各社に同じ説明をする |
| 5. 見積書を受け取る | 業者→自分 | 内訳のある見積書を受け取る。補助の対象になる部分が分かるようにしてもらう |
| 6. 比べる | 自分 | 下の比較表に書き写し、不明な項目を各社に質問する |
| 7. 申請・契約 | 自分・業者 | 業者を決め、制度の時期に合わせて申請と契約を行う。断る業者には連絡する |
依頼の前に決めること
東京住宅リフォームガイド(東京都住宅政策本部)は、複数の事業者に見積もりを依頼すると費用の目安や対応の違いが分かるとしたうえで、予算・工事内容・保証期間などの条件をそろえて比べることを勧めています。
各社に伝える内容をそろえるため、次の項目を1枚にまとめて渡します。
- 工事の場所と範囲(例:リビングと寝室の窓4か所に内窓を設置)
- 希望する製品の性能や等級(補助金の対象になる性能の条件があれば、その条件)
- 予算の上限と、工事をしたい時期
- 使いたい補助金の制度名
業者を選ぶときの条件
補助金を使う場合、相見積もりの相手は業者条件を満たす業者の中から選びます。国の省エネ補助は住宅省エネ支援事業者として登録した業者が条件で、公式の事業者検索ページで探せます。区の制度には区内業者に限るものがあり、区内業者の定義は区によって違います。詳しくは「補助金を使うリフォームの業者の選び方」で説明しています。
区内業者の条件がある制度では、見積書の発行元も確認します。大田区の住宅リフォーム助成は区内に本社がある中小事業者1社との契約が条件で、見積書・請求書・領収書をすべてその1社が発行する必要があります。目黒区の住宅リフォーム資金助成は、区外に本社がある業者の場合、区内の支店・営業所が発行した見積書・領収書が必要です。
見積書で比べる項目
受け取った見積書は、次の表に書き写して比べます。合計額が安くても、含まれている工事が少なければ後から追加費用がかかります。
| 比べる項目 | 確認すること | A社 | B社 | C社 |
|---|---|---|---|---|
| 工事の範囲 | 依頼した場所・数がすべて入っているか | |||
| 製品 | メーカー・型番・サイズ・性能(補助の性能条件を満たすか) | |||
| 数量と単価 | 製品・材料ごとに数量と単価が書かれているか | |||
| 工事費 | 取付け・撤去・処分費が分けて書かれているか | |||
| 諸経費 | 何が含まれるか(運搬、養生、現場管理など) | |||
| 「一式」の項目 | 中身の説明を受けたか | |||
| アスベストの事前調査 | 見積もりに含まれているか | |||
| 追加費用 | どんな場合に発生し、どう決めるか | |||
| 工期 | 着工可能日と工事の日数。申請の日程に合うか | |||
| 保証 | 製品保証と工事の保証の期間・範囲 | |||
| 補助金の対応 | 登録事業者か、区内業者の条件を満たすか、申請を誰が行うか | |||
| 補助額の見込み | 業者が示した補助額の根拠(制度名・単価) | |||
| 支払い条件 | 前払いの有無、支払時期と方法 | |||
| 見積もりの有効期限 | 申請・交付決定を待つ期間に間に合うか |
東京住宅リフォームガイドは、「○○工事一式」のような分かりにくい記載は内容の説明を受けること、リフォーム工事の前に事業者が行うアスベストの事前調査が見積もりに含まれているかを確認することを勧めています。
補助金を使う場合に追加で見る項目
補助金の申請には、見積書の書き方そのものが関わります。
- 補助額は製品の性能・サイズ・数量で決まる制度が多い。先進的窓リノベ2026は、ガラス交換・内窓設置・外窓交換ごとに性能区分とサイズで補助額が決まるため、窓ごとのサイズと製品の型番が必要です。
- 補助の対象になる工事と、対象外の工事が分けて書かれていると、申請書の作成が正確になります。
- 支払いの方法にも要件がある制度があります。東京都の既存住宅における省エネ改修促進事業は、令和8年度から実績報告時に金融機関発行の証明書等が必要で、現金取引は対象外です。文京区の助成は申請日までに対象経費を全額支払っていることが要件です。
- 見積もりの有効期限が、申請から交付決定までの期間より短いと、決定後に金額が変わることがあります。有効期限を延ばせるか確認します。
金額だけで決めないための確認
請負金額(税込)が500万円以上の工事は、国土交通省によると建設業許可を持つ業者でなければ請け負えません(建築一式工事は1,500万円以上が基準で、延べ面積150㎡未満の木造住宅の工事は許可が不要です)。見積額がこの金額を超える場合は、許可の有無を比較表に加えます。
見積書の相談先
見積書の内容に不安がある場合は、公的な相談窓口を使えます。
| 窓口 | 内容 | 連絡先 |
|---|---|---|
| 住まいるダイヤル(公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター) | 見積書の項目・形式(一式工事、二重計上など)、金額が相場より高額でないか、追加費用の合意などの相談。無料 | 0570-016-100 |
| 東京都リフォーム総合相談窓口(公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンター内) | 工事の依頼先、補助金、事業者とのトラブルなどリフォーム全般の相談 | 03-5989-1683(平日9時〜17時) |
相見積もりで気をつけること
相見積もりを取るときは、次の点に気をつけます。
- 他社の見積書をそのまま別の業者に渡すのは避けます。各社に同じ条件を伝え、それぞれ現地を確認してもらいます。
- 業者を決めたら、断る業者にも連絡します。
- 補助金の予算は年度の途中で上限に達することがあります。2026年10月24日時点で、北区の再エネ・省エネ機器等導入助成や目黒区の再エネ・省エネ設備設置費助成は予算上限に達して受付を終えています。相見積もりに時間をかける場合は、使いたい制度の受付状況を公式ページで確認しながら進めてください。
- 契約は小規模な工事でも書面で結び、見積書・図面・仕様書が契約書に添付されているかを確認します(東京住宅リフォームガイド)。
次にすること
使う制度と申請の順番を確かめたら、次のページで住んでいる区や工事の場所の制度を確認してください。
- 補助金を使うリフォームの業者の選び方:見積もりを依頼する業者を選ぶ条件を確認できます。
- 使える制度を調べる:工事の場所と区から、申請時期と業者条件を含めて制度を確認できます。
- 窓・内窓の補助金:型番・サイズで補助額が決まる制度の一覧です。
- 給湯器の補助金:国の給湯省エネ2026と区の制度を確認できます。
出典
この記事の数値と制度の条件は、次の公式資料で確認しています。
- 東京住宅リフォームガイド(東京都住宅政策本部、令和5年2月)
- リフォーム見積相談制度|住宅瑕疵担保履行法および住まいの安心総合支援サイト(国土交通省)
- 住宅リフォーム相談窓口について|東京都住宅政策本部
- 対象要件の詳細【リフォーム】|みらいエコ住宅2026事業
- 先進的窓リノベ2026事業 交付申請の手引き(リフォーム)
- 給湯省エネ2026事業 対象要件の詳細
- 既存住宅の断熱リフォーム支援事業 公募要領(令和8年6月公募)|公益財団法人北海道環境財団
- 既存住宅の断熱リフォーム支援事業|公益財団法人北海道環境財団
- 補助金利用を相談できる事業者(住宅省エネ支援事業者)の検索|住宅省エネ2026キャンペーン
- 既存住宅における省エネ改修促進事業(東京都・クール・ネット東京)
- 大田区 住宅リフォーム助成事業
- 目黒区 住宅リフォーム資金助成
- 令和8年度世田谷区エコ住宅補助金
- 渋谷区 住宅簡易改修支援事業
- 北区 住まい改修支援助成
- 墨田区 地球温暖化防止設備導入助成制度
- 令和8年度文京区新エネルギー・省エネルギー設備設置費助成事業
- 建設業の許可とは|国土交通省
- 北区 再生可能エネルギー及び省エネルギー機器等導入助成(令和8年度)
- 目黒区 住宅用再生可能エネルギー及び省エネルギー設備設置費の助成